セクレトームエキス®と培養上清液の違い

独自の浄化・高濃度化・均一化技術

再生医療研究の発展に伴い、培養上清液を活用した研究試薬や化粧品原料が、広く流通するようになりました。一方で、「培養上清液はどれも同じようなもの」という誤解も少なくありません。

実際には、当社の技術を利用していない培養上清液と、当社の技術を利用し不純物を取り除いて有用成分を濃縮した「セクレトームエキス®」とでは、成分の純度と品質の安定性に明確な差があります。化粧品原料を扱う立場から、当社では両者の違いと、原料選定で見落とされがちな「不純物のリスク」について、次のようにご説明しています。

培養上清液とは ── その仕組みと見落とされがちな課題

培養上清液(Conditioned Medium)とは、細胞を培養したときに、細胞から分泌された物質が溶け込んだ培養液の上澄み部分のことです。ここには成長因子(HGF・VEGF・FGFなど)、サイトカイン、エクソソームなど、細胞が分泌した多様な成分が含まれています。これらの分泌成分は、まとめて「セクレトーム」と呼ばれます。

培養上清液に残る「不純物」のリスク

細胞も生き物であるため、有用な成分を分泌する一方で、代謝の過程で老廃物を排出します。したがって、培養上清液には、有用な分泌成分だけでなく、アンモニアや乳酸といった代謝老廃物も混在しているのが実情です。
これらのアンモニアや乳酸は、培養プロセスにおいて一定濃度を超えると、細胞自身の増殖や有用成分の産生を妨げる要因になることが知られています。すなわち、培養上清液を未処理のまま利用することは、有用成分とともに、製品の品質や安全性に悪影響を及ぼす不純物までも取り込んでしまうことを意味します。高品質な化粧品原料を選定・評価するうえで、この不純物の残存リスクは見落とすことのできない重要なポイントです。

セクレトームエキス®とは ── 培養上清液との決定的な違い

セクレトームエキス®は、こうした課題を解決するために開発された原料です。培養上清液からアンモニアや乳酸などの不純物を精製プロセスで取り除き、有用な分泌成分を抽出・濃縮しています。「価値ある中身を残し、不要なものを除く」という発想で設計された原料です。
両者の違いは、大きく次の3つの点に集約されると当社は考えています。それは「不純物の有無」「成分の規格化」「ロット間差の管理」です。

セクレトームエキスの浄化・高濃度化・均一化プロセス 培養上清液からアンモニア等の不純物を浄化し、HGF(肝細胞増殖因子)を高濃度化・規格化することで、ロット間差のない原料を製造する流れを示した図。 活性成分・有効成分を高濃度化 均一なロット規格化 アンモニアや不純物浄化 HGF(肝細胞増殖因子)を高濃度化 アンモニ(20 μg/dL)HGF(肝細胞増殖因子を規格化 成長因子やエクソソームアンモニア不純物 独自技術適応前 培養上清液のみを利用 テレバイオの独自技術によるエキス化

図:当社独自の「浄化・高濃度化・均一化」プロセス。培養上清液から不純物(アンモニア・乳酸)を除去し、HGF(肝細胞増殖因子)を高濃度に規格化することで、ロット間差のない安定した品質を実現します。

比較表で整理する

比較項目 当社技術 適用前の培養上清液 テレバイオの
「セクレトームエキス®」
定義・状態 細胞を培養した後の上澄み液(未処理) 上清液から不純物を除去し、有用因子を濃縮した高純度原料
代謝老廃物
(アンモニア・乳酸)
⚠️ 残留している
(未測定の場合が多い)
定量測定により規格値以下に管理
有用因子
(HGF等)
⚠️ 低濃度で、ロットごとにばらつきやすい 独自の精製プロセスにより高濃度化・規格化
客観的指標
(エビデンス)
× 「不純物が少ない」等の定性的な表現 定量データ(規格書)の開示
品質の安定性
(ロット間差)
⚠️ 管理されず、ロットごとに成分がばらつきやすい 規格化された製造プロセスにより、一貫した品質

テレバイオでは、培養上清液・エクソソーム原料の無償分析(アンモニア・HGF濃度の定量測定)を承っています。お使いの原料の品質を客観的な数値でご確認いただけます。

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なぜこの違いが化粧品の製品開発で重要なのか

この違いは、化粧品の開発現場で具体的な問題として現れます。
ロットごとに原料の品質がばらつけば、処方の再現性が失われます。一度完成させた処方が、次のロットでは同じ仕上がりにならない。その結果、開発スケジュールが遅れ、予期せぬコストが発生します。
さらに、最終製品の品質がばらつけば、顧客体験にもばらつきが生まれます。「前回買ったものと印象が違う」という体験は、ブランドへの信頼を少しずつ損ないます。原料の品質が安定していることは、単なる「原料の話」ではなく、ブランドを守ることに直結しているのです。

また見落とされがちなのが、「特徴的な因子」を訴求するだけでは十分ではないという点です。培養上清液は、由来となる細胞によって含まれる分泌因子のプロファイルが異なります。同じ間葉系幹細胞でも、脂肪・臍帯・歯髄・骨髄など、由来ごとに固有の特徴があり、原料はしばしば「この因子を豊富に含む」といった強みを掲げます。

しかし、当社は、不純物が残り、規格化もされていない状態では、たとえ特徴的な因子を主張していても、その強みを十分に活かすことは難しいと考えています。アンモニアや乳酸などの不純物が共存していると、有用因子の働きは妨げられてしまいます。さらに、ロット間で成分濃度にばらつきが生じては、製品として訴求したい特徴そのものが安定しません。由来細胞が本来もつ良さは、不純物を取り除き、有用因子を規格化して初めて、安定したかたちで引き出せるものだと当社は考えています。

テレバイオの「アンモニアとHGFの規格化」

当社では、ヒト脂肪幹細胞由来のセクレトームエキス®に対して、品質基準を設けています。
「不純物が少ない」という曖昧な表現にとどめず、アンモニア数値をロットごとに定量測定しています。
あわせて、機能性の指標となるHGF(肝細胞増殖因子)の濃度も規格化しています。
不純物を取り除くこと(マイナスをゼロに近づける)と、有用因子を濃縮・規格化すること(プラスを高める)。この両立こそが、当社がセクレトームエキス®で大切にしている考え方です。

まとめ

培養上清液とセクレトームエキス®は、似た文脈で語られることが多いものの、原料としての中身は大きく異なります。培養上清液が「素材そのもの」だとすれば、セクレトームエキス®は「精製・規格化された原料」と言えます。

そして、由来細胞ごとの特徴や「特徴的な因子」も、不純物を取り除き、規格化されて初めて安定して活きるものだと当社は考えています。どれだけ魅力的な因子を掲げても、不純物が残り、ロット間でばらついていては、その強みを十分に引き出すことは難しいためです。

化粧品開発や研究において安定した結果と信頼性を確保するには、原料の段階で品質が客観的な数値データに裏付けられていることが欠かせません。原料を比較検討される際は、ここでご説明した「不純物・規格化・ロット間差」の3つの観点を、判断の軸としてご活用いただければ幸いです。

規格化されたセクレトームエキス®をお探しの方へ

テレバイオのセクレトームエキス®は、培養上清液からアンモニア・乳酸などの不純物を取り除き、HGF濃度を規格化した、ロット間差の小さい製品です。本記事でご説明した「不純物・規格化・ロット間差」の違いを、原料としてかたちにしています。

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