培養上清液とは、幹細胞をはじめとする動物細胞を培養した際に、細胞から分泌された物質が溶け込んだ培養液の上澄み部分を指します。
遠心分離や濾過によって細胞成分を除去した後に得られる液体成分であり、細胞本体は含みません。
培養上清液には、成長因子(HGF・VEGF・FGFなど)、サイトカイン、エクソソーム、マイクロRNA、タンパク質、脂質など、細胞が分泌した多様な生理活性物質が含まれていることが報告されています。これらの分泌成分は総称して「セクレトーム」と呼ばれ、細胞間のシグナル伝達(パラクライン効果)の研究対象として注目されています。
細胞種・培地条件・回収タイミングにより成分プロファイルは大きく異なります。主にヒト脂肪幹細胞、骨髄由来幹細胞(BMSC)、臍帯由来幹細胞(UC-MSC)などが原料として用いられ、化粧品原料や研究試薬として国内外で活用されています。
一方、未処理の一般的な培養上清液には、有用因子だけでなく、アンモニアなどの細胞の代謝老廃物も残留することが報告されています。こうした不純物の残留量は、アンモニア(NH₃)として定量測定することで客観的に評価可能です。
英語表記Cultured Supernatant / Conditioned Medium
参考文献
- Caplan AI, Dennis JE. Mesenchymal stem cells as trophic mediators. J Cell Biochem. 2006;98(5):1076-1084.
- Skalnikova H, et al. Mapping of the secretome of primary isolates of mammalian cells, stem cells and derived cell lines. Proteomics. 2011;11(4):691-708.
- Schneider M, Marison IW, von Stockar U. The importance of ammonia in mammalian cell culture. J Biotechnol. 1996;46(3):161-185.